昨日5/8の話。調布市武者小路実篤記念館に行った。京王線つつじヶ丘駅からのんびり歩いて15分。 ちなみに仙川駅とつつじヶ丘駅両方から行かれます。仙川駅近くには安藤忠雄建築研究所の設計の「東京アートミュージアム」がある。安藤忠雄氏の作品が好きな自分だが実はまだ行ったことがなく。安藤氏っぽいつくりやなぁと思ってたけど、まさか本物だと思ってなくて最近知った。
で、実篤の記念館は閑静で上品な住宅街の中にある。実は9年ほど前このすぐ裏のアパートに見学に来たことがあった。閑静な上に、この記念館のお庭が見下ろせる角部屋。最高のロケーション。でも家賃がそれなりに高くて諦めた経緯がある(下の画像左の方の)。
武者小路実篤が愛したお庭は無料で見学ができるが、記念館の展示や図書室(実篤のみならず白樺派の作家など多数の文学作品がある)、休憩所を利用するには入館料200円。でも200円でいい時間が過ごせるのは嬉しいこと。
入る時に記念館の職員の方が後ほどボランティアの方によるガイドツアーがあるので良かったら参加して下さいと非常に丁寧に教えて下さった。
いったん入館してからすぐに打ちっぱなしのトンネルを抜けてお庭を散策。野鳥の声とそよ風の鳴らす木々の木の葉の音だけ。これが東京かと思うほどの空間。しばしベンチで緑を楽しんだ。
これが夏になると蝉の声。足もとの草に蝉の抜け殻がびっしり。生き物の力強さに圧倒されるようになる。蚊なども増えるので、今の時期がベストかもしれない。一応記念館入口で虫よけスプレーや虫さされのお薬も置いてあります。
水彩で絵を描いている方も結構いらっしゃる。この方は竹林を描いていらしたけどお上手でした。
跡形もないけどアジサイの葉。よほど美味かったんだね。
お庭を後にしようとしたら、さっき聞いたガイドツアーが始まるのでいかがですかと女性に声を掛けられた。時間がないわけでもないし、何度も来ている場所だけど、詳しい方にお話を聞いたらまた新しい発見があると思い参加した。
集まった十数人の中には、たまたま入ってきた若いカップルもいたな。そういう人にも知って欲しい気がして、ちょっと嬉しかった。
実はこのガイドツアーはこの日が初めてだそうで、ボランティアの男性は一生懸命お調べになったこと、知っていることをお話しして下さった。
旧宅の玄関前の石垣を見ると何か模様のようなマークのようなものが彫ってあるものがあり、これは推測らしいが江戸の外堀の石垣に使われたものの一部だと言われているらしい。ひとつは赤坂見附、ひとつは日本橋だとか。蘊蓄ですねえ。
武者小路実篤の旧宅にも入ることができた。外からしか見たことがなかったが、それはモダンな邸宅。昭和30年建築とは思えない。広い玄関横のロビーには天窓があり、実篤のアトリエになっていた部屋前にはテラスがある。
また、客間は高級老舗旅館の角部屋みたい。周り廊下があってその先にはお庭の緑だけが目に入る寸法だ。
残念ながら邸宅内での撮影はできないので外から雰囲気だけ。
月見台と呼ばれた、庭に突き出したテラスがあったり。だけど風呂場だけは寒くてかなわなかったらしい。
実篤は東京麹町の生まれだが、年を取ったら郊外に家を建てたいと志賀直哉に話したという。そしたら志賀は「もう歳なんだからいいんじゃないの」とあっさり。で、70歳のころこの地を選んで移り住んだ。彼は子供の頃から何となく夢に見ていた3つのことをここで叶えたという。それは自分の庭に水があること(池がいくつもある)、古い土器が出ること(この辺りは土器の出土が多く、将来もっと研究方法が発達するだろうということで、まだまだ埋まっている)、土筆(つくし)が生えること(杉の木があるので土筆は生えるそうで、春にはそれを食べたりしたらしい)だった。
僕としては少し贅沢だ、と以上のことを「一人の男」という作品の中で書いている。
お庭の木々の説明も素晴らしかった。ヒカリモという黄金色の藻類があったり、備長炭の材料になるウバメガシ、ショウブ園もあるし挙げたらキリがない。
また実篤はたくさんの野菜や植物を描いていたが、実物を目の前にしないと描けないそうだ。30年も書いているのにだ。描く度に変わる植物や野菜の様子も描きたかったのではないかとボランティアの方がおっしゃっていた。
一通りツアーが終わり記念館に戻る。冷たいお茶を頂いて、アンケートなんか書いたりして帰って来た。
なかなか調布市までおいでになれない方も、HPにバーチャルツアーなんかもありますから、良かったら最上部のリンクからどうぞ。
今は春の特別展「実篤 美術への眼差し」を開催中。彼の収蔵絵画などの展示がある。実篤は昭和11年というまだ海外渡航など夢の時代に数か月欧州を旅し、ピカソ、マチス、ルオー、ドランを訪ねて会っている。いやあ時代だなあ。でも実篤もだけどピカソだって私が子供のころまで生きてたんだよね。
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